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●マイムランドを推薦します● 多田 徹(元 劇団風の子代表)
<ナイーブな笑い>
藤井<んは、私たち『劇団風の子』の研究所の3期生で、その小柄な身体と回転の早い頭脳で目立つ、異色な存在でした。
その彼が、ヨネヤマ・ママコさんについてマイム修業をしていることを知り、この数年、『風の子』のさまざまな小班作品の振付や演出面で、その才能を発揮してもらつていましたが、わが家に近い児童館で、彼と相棒の平賀<んによる「マイムランド」の公演をみて、大いに楽しみました。
平賀くんの繊細なスピーディな動きと、藤井くんのややトボケたユーモラスな風味とが、うまくかみあつて、いい呼吸で、会場の子どもたちも大人たちも、道化の笑いの世界にのせられていました。
テレビでも舞台でも、仕掛けられた滑稽づくりに汲々として、創る方も見る方も、懸命におもしろがっている時代に、自分たち自身の肉体と、人間心理の機微をつくアイディアだけで、ナイーブな笑いを創り出す、この2人組の仕事は、とても責重なものだと思います。
どんな小さな会場でも、子どものいるところへはどこへでも飛んで行ける「マイムランド」は、私たち『風の子』の考え方と同じで、子どもたちだけでなく、親子でも、地域の人たちだれでもが楽しめる公演として、大いに推薦いたします。
・・・ 不思議な世界・・・ 上祖師谷パル児童館 藤川 恭英
子どもたちの目が、見えないはずの「もの」の中に引き込まれていく。
マイムランドの不思議な2人がくりひろげるパントマイムや手品。
「空を自由に飛べたら・・・」 そんな夢をかなえてしまうパントマイムに、子どもたちは自分の世界を創り出し、見えないものを一生懸命おいかけ、そしてそれが見えてくる。
そんな純粋な気持を忘れていた大人たちも、マイムランドの2人にかかっては、子どもと同じ。
「あーっ、あぶない!工ントツにぶつかる」おもわす叫びそうになる自分に苦笑し、その不思議な世界に、子どもも大人も酔いしれていく。